【コラム】子どもの肥満について

キッズ食育トレーナーで、医師・料理家の河埜玲子です。

 

 

 

私は、食の観点から予防医学を家庭に広げていくための活動をしていきたいと思っています。

皆さんもご存知のように、食事と健康は密接な関係があります。
食生活は子どもの頃からの習慣になっており、大人になってからの改善は時として難しい場合があります。

医師として働いてきて、健康な身体を作るためには子どもの頃から正しい食の知識を身につけることが非常に大切だと実感し、キッズ食育トレーナーとなりました。

これから、医師・キッズ食育トレーナーの立場から、皆さんに知ってほしい「食と子どもの健康」に関する情報をお届けしていきます。

よろしく願いします。
一番初めのテーマは、「子どもの肥満」について取り上げてみたいと思います。

日本では子どもの肥満が、1970年代ごろから増えてきました。
現在では増加傾向は止まっていますが、すでに10人に1人を超える子どもが肥満になっています。

子どもの肥満も大人と同じで、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていることが原因になります。

つまりは、食事・おやつ・ジュースの食べ過ぎ・飲みすぎであったり、食事の栄養バランスの悪さ。

また、自家用車などの交通手段の発達、テレビゲームの出現によって、子どもの運動量が減ったことも原因と言われています。
日本の食生活が豊かになり、戦後のように子どもたちが飢餓におびえることがなくなったのはとても幸せはことですよね。

でも、食べ物が簡単に手に入り、選択肢も増えたがゆえ、好きなものを好きなだけ食べさせていては肥満になり、健康を害するという心配がでてきてしまいました。

子どもたちの健康を守るために正しい食を選択する力が、親にも子どもたち自身にも、より必要になってきたということです。
まさに、キッズ食育は、小児肥満という医療の場でも必要とされているのです。
では、子どもが肥満であるかどうかはどのように判定するのでしょうか?
大人の肥満の評価で用いられるBMIと違い、子どもの肥満は、「肥満度」というもので評価します。
肥満度は、標準体重に対してその子の体重が何%上回っているかしめすもので、以下の式で表されます。

肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重 × 100 (%)

幼児では、肥満度15%以上は太りぎみ、20%以上はやや太り過ぎ、30%以上は太り過ぎ。
学童では、肥満度20%以上を経度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満。
となります。

しかし、標準体重は性別・年齢・身長の3つの要素で決められているので、計算がけっこう大変です。

そこで、家庭では肥満度が簡単に知ることの出来る「肥満度判定曲線(身長体重曲線)」を用いるのが便利です。
この曲線は、日本小児内分泌学会のホームページから無料でダウンロード出来るので、そのリンクを貼っておきます。

幼児用 肥満度判定曲線(男)
http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_boy_1k.pdf

幼児用 肥満度判定曲線(女)
http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_girl_1k.pdf

学童用 肥満度判定曲線(男)
http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_boy_2k.pdf

学童用 肥満度判定曲線(女)
http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_girl_2k.pdf

※幼児用のものは、母子手帳にも載っているので利用してください。

このグラフから、お子さんの身長・体重が交わる点で、現在の肥満度が知ることができます。

以上が、子どもの肥満を評価する方法の簡単な説明です。
実際は子どもは成長しているので、ある1時点だけで肥満を評価することはできず、いつから肥満が始まっているのか、今も肥満傾向が続いているのか、変化を見ていくことが大切です。

次回は、「子どもの肥満はなぜ良くないのか」のお話をします。

 

 

 

河埜玲子

ブログ:

「1品で栄養バランスの取れるレシピ」

 

2016-03-30 | Posted in 【コラム】Comments Closed 
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